日本人同士の結婚の場合、役所に婚姻届と戸籍を提出し受理されれば完了というシンプルなものですが、外国人との国際結婚では、お相手の外国人の方の国の法律が関係するため、そう簡単ではありません。
次のような問題に直面し、手続きがなかなか進まないことがあります。
|
あなたも同じお悩みをお持ちかもしれません。確かに、国際結婚の手続きにおける難所は多種多様です。
しかし、このような結婚の手続きに関するお悩みは、ほんの一部分に過ぎないのではないでしょうか?
今、ご結婚を控えておられるなら、結婚相手のこと、家族や親族のこと、結婚式のこと、新居のことなど、様々なことをお考えのことと思います。
私自身、日本人同士の結婚でしたが、初めての経験で、遠距離だったこともあり、自分のキャパシティを超える大変な思いをしたことを覚えています。
国際結婚となれば、さらに多くのことを考慮する必要があることでしょう。
この記事では、国際結婚を予定しておられる方が知っておくとよいポイントを解説いたします。
日本と相手国-どちらで結婚手続きを始めるべきか
結婚手続きは、日本と相手国のどちらでも行うことができます。
どの国で手続きを始めたらよいかは、どちらがより手続きがスムーズかで判断します。具体的には、当事者が住んでいる場所、役所の手続きのスピード、集める書類の量(翻訳書類を含む)、その国の情勢(郵便事情)、専門家のサポートを受けることができるかなどの要素です。
この最初の結婚手続きを、法律の専門用語で「創設的届出」といいます。
その後、もう一方の国に対して「〇〇国の方式で結婚しました」ということを報告することになります。これは「報告的届出」と呼ばれます。
もし結婚するお二人とも日本に住んでいるのであれば、日本で手続きをしたほうがスムーズでしょう。外国人のお相手が日本に住んでいない場合でも、日本で手続きをしたほうが円滑なケースが多いです。
ところで、国際結婚における難しさはどのようなところにあるのでしょうか?
この点を理解するために、まず日本人同士の結婚について理解しておくことは重要です。その後、その応用編である国際結婚について説明します。
日本人同士の結婚における婚姻要件
日本人同士の結婚では、日本の法律(憲法・民法等)が適用されます。これら条文から、婚姻要件を満たしているのか判断されます。
具体的には、次のように規定されています。(以下は、憲法・民法の抜粋です。)
<憲法> 第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。 <民法> (婚姻適齢) 第731条 男は、十八歳に、女は、十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。 (重婚の禁止) 第732条 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。 (再婚禁止期間) 第733条 女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。 (近親者間の婚姻の禁止) 第734条 直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。 (直系姻族間の婚姻の禁止) 第735条 直系姻族の間では、婚姻をすることができない。 (養親子等の間の婚姻の禁止) 第736条 養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第729条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。 (未成年者の婚姻についての父母の同意) 第737条 未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。 (成年被後見人の婚姻) 第738条 成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。 (婚姻の届出) 第739条 婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。 |
日本人同士の結婚の場合、上記の各要件を満たしていれば、法的に婚姻することができます。
この各要件は、結婚する当事者の一方がそれぞれ満たしているべき要件(一方的要件)と、双方が満たしているべき要件(双方的要件)に分けられます。
一方的要件とは、婚姻意思、婚姻適齢、第三者の同意などです。双方的要件には、重婚の禁止、近親婚の禁止、再婚禁止期間などが含まれます。
この一方的要件と双方的要件を言い換えるとこうなります。
- 日本人の一方の当事者が、日本の法律の婚姻要件の一方的要件を満たしていること
- 日本人のもう一方の当事者が、日本の法律の婚姻要件の一方的要件を満たしていること
- 当事者双方が、日本の法律の婚姻要件の双方的要件を満たしていること
これらの実質的要件を満たしていれば、民法739条にあるように、日本の役所(市区町村役場)に届け出ることで婚姻の効力が生じます。
日本人同士の婚姻の場合、婚姻届と戸籍を提出することで実質的要件が判断されます。
国際結婚における婚姻要件
では、国際結婚は日本人同士の結婚とどのような点が異なるのでしょうか?
国際結婚では、お相手の方の国の法律が関係します。
そのため、婚姻成立のために求められる一方的要件と双方的要件は次のようになります。
- 日本人の一方の当事者が、日本の法律の婚姻要件の一方的要件を満たしていること
- 外国人のもう一方の当事者が、本国の法律の婚姻要件の一方的要件を満たしていること
- 当事者双方が、日本並びに相手国の法律の婚姻要件の双方的要件を満たしていること
但し、相手国の法律が日本の公序に反する場合は、適用されないことがあります。
これらの要件を満たしていなければ、婚姻が成立しないのですから、以下のものが必要であることが分かります。
- 外国人の本国の婚姻に関する法律の情報
- 婚姻要件を具備していることの証明
では、どうすればこれらの情報・資料を入手できるのでしょうか?
日本で結婚手続きをするには
国際結婚の場合であっても、婚姻届の提出先は、日本人同士同様で、市役所などの市町村役場(本所)です。
そのため、婚姻届を提出する役場の職員の方と十分前もって協議するなら手続きを進めることができます。
その場合、少なくとも以下の情報を市役所の人に伝えましょう。
- 相手の方の国籍、年齢
- 婚姻歴(初婚か再婚か。再婚の場合、前婚の期間)
相手の国の方が、米国、中国、韓国、フィリピン、ブラジルなどであれば、多くの市役所で婚姻届を受理した事例があるため、手続きがスムーズに進むことが多いです。
しかし、事例が少ない国の方との結婚だったり、国際結婚を受理したことがない市町村役場では、協議に時間がかかることが予想されます。
婚姻届に必要な書類を聞くだけでも何週間もかかることは少なくありません。
また、その情報に不備があったり、説明が不十分であったりする場合もありますので、相手方やその家族などを通して情報を得ておくことも重要です。
必要書類が確定後、相手国で書類を集めることになります。
日本で結婚する場合の手続きの流れは以下の通りです。
日本での結婚手続きの流れ
日本での結婚手続きの流れは、以下の通りです。
(相手国や当事者の状況により前後する場合があります。)
婚姻届を提出する市役所との協議
↓
必要書類の確定
↓
相手国で必要書類の収集
↓
相手国で発行された書類の認証やアポスティーユの取得
↓
相手国で発行された書類の翻訳
↓
相手国で取得した書類で婚姻届が受理されるのか、市役所と再度協議
婚姻届や申述書などの書類についても協議
↓
問題なければ、相手国から取得した書類を日本に送付
↓
婚姻届と必要書類を持参し、市役所に提出
↓
問題がなければ受理され、戸籍が発行される(数日かかる場合があります)
↓
相手国の大使館へ行き、婚姻の報告的届出をし、結婚証明書を取得する(報告的届出が不要な国もあります)
↓
お相手の方が日本に住まわれる場合は、入国管理局へ配偶者ビザの申請
婚姻届提出サポート
当事務所では、石川・富山・福井にお住まいの国際結婚をされる方の婚姻届の提出をサポートしております。
当事務所には、様々な国籍の方の国際結婚をサポート実績がございます。一例としては、ペルー、メキシコ、フィリピン、ミャンマーがあり、サポートさせていただいた国籍は様々です。
中でも、スペイン語圏(スペインや中南米の国々)の方からのご依頼では、代表の古川がスペイン語証明書を日本語に翻訳するサービスも提供しており、ワンストップサービスとしてご好評いただいております。
スペイン語圏の方でしたら、代表行政書士が直接お相手の方や在日大使館とスペイン語で打ち合わせをすることでき、より確度の高い協議を行うことができます。
勿論、どんな国の方でもお受けしております。
当事務所の「婚姻届提出サポート」には、以下のサービスが含まれます。
サービス内容
国際結婚に関するご相談 | ◯ |
---|---|
婚姻届を提出する市役所との事前協議 | ◯ |
在日大使館・領事館との協議 | ◯ |
必要書類の確定・内容チェック | ◯ |
翻訳の手配 | ◯ |
婚姻届の下書き作成 | ◯ |
随時的に発生する市役所との協議 | ◯ |
婚姻届提出の同行 | ◯ |
配偶者ビザ取得に向けたアドバイス | ◯ |
料金表
業務内容 | 報酬額(税別) |
婚姻届提出サポート | 120,000円 |
※翻訳費用は別途頂戴致します。
外国籍の方との結婚をお考えの方は、相談・面談だけでもお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。