高度専門職ビザとは?その特徴とメリットをわかりやすく解説

高度専門職ビザは、日本の発展に貢献できるような「専門的で高度な能力を持つ外国人」に対して与えられる在留資格です。
このビザの取得には、学歴や職歴、年収、研究実績、日本語能力などを総合的に評価するポイント制が導入されており、ポイント表で70点以上であることを証明すると取得できます。

高度専門職ビザの主なメリット

高度専門職ビザには、他の就労ビザにはない多くのメリットがあります。

最初から最長の在留期間「5年」が与えられる

通常のビザでは短い期間での更新が必要ですが、高度専門職ビザなら初回から5年間の在留が可能。頻繁な更新手続きを省くことができます。

永住申請が早くできる

通常、永住ビザの取得には10年の在留が求められますが、高度専門職ビザでは1〜3年で永住申請ができる可能性があります。

働きながら事業経営も可能

本業に関連する分野であれば、就労と並行して事業経営を行うことも可能です。

配偶者もフルタイムで働ける

通常の就労ビザの配偶者(家族滞在ビザ)は週28時間までのアルバイトしかできませんが、このビザでは学歴や職歴の要件なしでフルタイムの就労が認められます。

親を日本に呼ぶことができる

配偶者が妊娠している場合や、7歳未満の子どもがいる場合には、親を帯同させることができます。
※ただし、親との同居が必要で、世帯年収800万円以上などの条件があります。

家事使用人の帯同も可能

海外で雇っていた家事使用人を日本に呼ぶことができたり、13歳未満の子どもがいるなどの事情があれば日本で新たに雇うことも可能です。
※こちらは世帯年収が1000万円以上などの条件が求められます。

入国・在留手続きが早い

申請が優先的に処理されるため、審査期間が短縮されます。
審査期間の目安は以下の通りです。

  • 在留資格認定証明書の交付:10日以内
  • 在留資格の変更・更新:5日以内

デメリットも知っておきましょう

高度専門職ビザには多くのメリットがありますが、注意すべき点もあります。

転職時の手続きに注意

高度専門職1号」の方が転職する場合、在留資格変更許可申請が必要になります。技人国ビザなどの就労ビザであれば届出のみで済むケースが多いため、手続きが少し煩雑になります。
ただし、「高度専門職2号」であれば届出のみで転職が可能ですので、この点は大きな違いです。

高度専門職ビザの種類とは?

高度専門職ビザは、大きく分けて「高度専門職1号(イ・ロ・ハ)」と「高度専門職2号」の4種類に分類されます。
まずは、それぞれの違いを見ていきましょう。

高度専門職1号とは?

高度専門職1号は、3つのカテゴリーに分かれており、外国人が行う活動の内容によって「イ」「ロ」「ハ」に分類されます。

分類 活動内容 具体的な活動例 該当しやすい在留資格(変更元) 一言で言うと
1号イ 高度な学術研究活動 大学や研究機関での研究・教育、研究指導など 教授、研究、特定活動(研究系)など 大学教授や研究者
1号ロ 高度な専門・技術活動 一般企業等での技術職や専門職の業務(国際業務を除く) 技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、医療、特定活動(情報処理系)など 企業で働く技術者
1号ハ 高度な経営・管理活動 会社の経営者や管理職としての活動 経営・管理、法律・会計業務など 企業の経営者

ポイント:「イ」は学術的な職業、「ロ」は企業内の技術職、「ハ」は会社経営に関わる活動が該当します。

高度専門職2号とは?

高度専門職2号は、高度専門職1号(イ・ロ・ハ)のいずれかの資格で3年以上日本に在留した方が取得できる上位の在留資格です。

◉ 高度専門職2号のメリット

高度専門職1号に比べて、さらに多くの利点があります。

在留期間が「無期限」に!

一度取得すると、在留期間の更新は不要になります。
ただし、7年に1度、在留カードの顔写真更新手続きは必要です。

活動範囲が大きく広がる!

これまでの高度専門職1号の活動に加えて、ほぼすべての就労系在留資格で認められている仕事が可能になります(※単純労働は除く)。
そのため、職種の変更や副業などにも柔軟に対応できるようになります。

◉ 高度専門職2号への変更をおすすめする理由

高度専門職1号で3年以上在留している方は、条件を満たしていれば高度専門職2号への変更を強くおすすめします

なぜなら、

  • 在留期間が無期限になり、

  • 転職や活動の自由度が高まり

  • 各種手続きの手間も減るからです。

高度専門職ビザを取得するには?

高度専門職ビザを取得するためには、まず「どのカテゴリーに該当するか」と「ポイントが70点以上あるか」を確認する必要があります。

① 活動内容を確認する

ご自身の活動内容が、高度専門職1号のイ(学術研究)・ロ(専門技術)・ハ(経営管理)のどれに該当するかを判断します。

  • 1号イ:大学教授・研究者など

  • 1号ロ:企業で働く技術者・専門職など

  • 1号ハ:会社経営者・管理者など

② ポイントを計算する

高度専門職ビザはポイント制で審査されます。
合計70点以上あることが取得の条件です。

学歴に関するポイント

学歴 1号イ(研究者) 1号ロ(技術者) 1号ハ(経営者)
博士号取得者 30点 30点 20点
修士号または専門職学位 20点 20点 20点
大学院・大学・短大・高専・防衛大学卒業者、高度専門士 10点 10点 10点
複数の異なる専攻の学位を持つ場合 +5点 +5点 +5点
経営・管理に関する専門職学位(MBA・MOT) +5点 +5点

Q. 専門職学位には何が含まれますか?
A. 以下のような学位が含まれます。

  • 日本国内:

    • 法科大学院を修了した「法務博士(J.D.相当)

    • 教職大学院を修了した「教職修士

  • 海外:

    • Juris Doctor(J.D.)

    • Doctor of Medicine(M.D.) など

職歴(実務経験)に関するポイント

高度専門職ビザのポイント加算対象となる「職歴」とは、これから従事する業務に直接関係のある実務経験のことです。
職業として実際に働いた期間が対象であり、次のような期間は含まれません:

  • 大学などで学んでいた期間(専攻や研究活動を含む)

  • アルバイトとして働いていた期間

Q:職歴はどのように証明すればいいですか?

A:過去に勤務していた会社や機関から発行された「職歴証明書」などの書類を提出します。正式な書式での発行が求められるため、会社に依頼する際は注意が必要です。

年収(報酬)に関するポイント

ポイント計算における「年収」とは、実際に過去に得た年収ではなく、高度専門職ビザで働く予定の企業等から支払われる見込みの年収を指します。

最低年収の基準

  • 1号ロ(技術者など)・1号ハ(経営者)の場合:年収300万円以上

    • 300万円未満だとポイントは0点となり、申請自体ができません。

  • 1号イ(大学教授や研究者)は最低年収の基準は設けられていません。

年収ポイント表(1号イ・1号ロ)

年齢\年収 ~29歳 ~34歳 ~39歳 40歳~
1,000万円以上 40点 40点 40点 40点
900万円以上 35点 35点 35点 35点
800万円以上 30点 30点 30点 30点
700万円以上 25点 25点 25点
600万円以上 20点 20点 20点
500万円以上 15点 15点
400万円以上 10点

年収ポイント表(1号ハ:経営者)

年収 ポイント
3,000万円以上 50点
2,500万円以上 40点
2,000万円以上 30点
1,500万円以上 20点
1,000万円以上 10点

Q:どのような手当が「年収」に含まれますか?

A:ポイント計算に含められる手当は以下のとおりです:

含まれる手当:

  • 基本給

  • ボーナス(賞与)

  • 勤勉手当

  • 調整手当

含まれない手当:

  • 通勤手当

  • 扶養手当

  • 住宅手当

  • 残業手当(超過勤務手当)

Q:報酬が海外の会社から支払われる場合は?

A:海外の会社に所属したまま、日本の会社に出向・転勤している場合、海外から支払われる報酬も日本での年収に含めることができます。

Q:経営者でポイントが足りません。役員報酬を上げれば良いですか?

A:確かに、役員報酬を増やせばポイントを増やすことができますが、注意点もあります:

  • 役員報酬が増えると 税金・社会保険料も増える

  • 年度の途中で役員報酬を変更すると、経費として扱えない場合がある

→ 顧問税理士に事前相談することを強くお勧めします。

年齢に関するポイント

高度専門職ビザのポイント制度では、1号イ(大学教授や研究者)および1号ロ(企業で働く技術者)の方に限り、年齢によってポイントが加算されます。

この年齢は、次のいずれかの時点での年齢を基準にします。

  • 在留資格認定証明書交付申請書に記載された入国予定日

  • または、在留資格変更許可申請の申請時点

年齢による加点表

年齢 ポイント
〜29歳 15点
〜34歳 10点
〜39歳 5点
40歳以上 加点なし

40歳を超えると年齢による加点はなくなりますが、他の項目(職歴、年収など)で十分にポイントを積み上げることが可能です。

お電話・メールとも初回相談は無料です。メールは以下のフォームから送信ください。

  • メール相談は24時間承っております。お急ぎの方は電話相談もご利用ください。

    ご希望の連絡先 (必須)

    メールに返信電話に連絡どちらでも可

    ページトップへ戻る